B2BとB2C

 

B2BとB2Cの販売データ活用手順の違い

B2Cビジネスは「大衆」を相手にするもので、商品戦略のウエイトが大きく、顧客動向に見合った商品を選択し、店頭の陳列やインターネット、および広告やチラシなどで訴求していくものです。

一方B2Bビジネスは「組織」を相手にするもので、営業パーソンが顧客ごとのニーズを聞き出し、それにふさわしい解決策を提案しながら販売していきます。

B2B、B2C、どちらのビジネスのデータ活用も、最終的には「人」の意思決定とアクションによって進められますが、そこに至る過程はかなり違っています。

B2Cビジネスの大手企業では、近年「販売データなどからお客の嗜好や行動を分析して、それに合った商品やサービスを提案(レコメンド)し、その反応を検証する」という作業をIT化することが急ピッチで進められています。

B2Cビジネスは「個人」が対象であり、かつネットを通じて大量の情報(ビッグデータ)の収集や「意思決定者(個人)」への直接の働きかけができるので、この部分をIT化しやすいのです。

データを分析したら、ターゲット顧客に対して何らかの拡販アクションを起こさなければ何にもなりません。それがデータ活用の目的なのですから。

以前はそれを「人」が行っていました。 ですからその人のやり方によって効果も変わりますし、いくらアクションを指示されてもやらない人もいます。

しかしこの部分がIT化されれば、指示したアクション(レコメンド)はコンピュータが確実に実行してくれますし、その後の受注状況を調べれば、その効果も簡単に検証することができます。

なお先に述べたように、このような「大衆」が相手のビジネスでは商品戦略のウエイトが高く、顧客の購買動向を把握するために高度な統計分析が必要になり、「データサイエンティストという専門家」がその役割を担っているのです。

一方「組織」を相手にするB2Bビジネスでは、顧客の「検討から意思決定までのプロセス」が複雑で、かつ意思決定者も複数いるのが普通です。また、同じ顧客からの受注を狙っているライバル社も存在します。

このようなビジネスでは、ライバルとの間で「顧客の信頼と受注の獲得」という競争が繰り広げられ、その第一線に立つ営業部員は、企業トップの方針や営業マネージャの指導、および企画などスタッフ部門の支援を受けながら、日々ライバルと戦うことになります。

この活動の中で販売データは、それぞれの職位・役割における「目標達成状況の把握」にまず使われ、次に「目標達成を阻む問題の解決」、さらに「より業績を伸ばす」ために利用されていきます。

さて、B2Bビジネスにおける販売デ-タは「ライバルとの競争の結果」といえます。 従ってデータの利用にあたっては、実績の推移を見ながら「なぜ勝ったのか」、「なぜ負けたのか」、「どうすれば勝てるのか」ということを考えなければなりません。

そのためには客先やライバル社の動向など、現場で収集した情報も含めて分析・検討することが大事で、分析は仮説検証法が基本になります。 そしてライバルに勝つためには、的確な施策を打ち出すことはもちろんですが、第一線営業部員のアクションに負うところも非常に大きいのです。

以上この項では、B2B、B2Cビジネスにおける販売データ活用手順の違いについて述べてきました。 次からはいよいよB2Bにおける販売データ活用に絞って、その具体的な内容を見ていくことにします。    

補足1  B2Cと仮説検証法

B2Cビジネスであっても、その規模が小さい場合やデータ量が少ない場合は、仮説検証方式が採用されています。

この好例がセブン-イレブン・ジャパンの店舗運営です。 その詳細は、同社の会長自らネット上に発信している店舗事例に見ることができます。

セブン-イレブン本社ではビッグデータによる分析が行われ、様々な情報や販売のヒントがお店に提供されます。

個々の店舗ではアルバイトを含む全スタッフが仕入を行うことができ、「自分で立てた仮説に基づいて仕入を行い、陳列やお客への働き掛けも含めて販売に注力、結果を検証して次の仕入への参考にする」というPDCA (Plan-Do-Check-Action) サイクルが回っているとのことです。

そして会長の言葉によれば、「本部は各チェーン店に『仕入れていただく』ために、データ分析に基づいた『お店に役立つような情報提供』を行っている。従って本部のビジネス形態は『B2B』である」とのことでした。

 

 

 

補足2  「リアル店舗」と「オムニチャネル」B2BとB2Cのビジネス形態に触れたところで、最近よく言われる2つの言葉を確認しておきます。

  ・リアル店舗 B2Cではネットビジネスの展開が急速に進んでいますが、その一方で「実際の店舗での販売方式」を見直す機運が高まりを見せています。

一方的に情報を送りつけてくる商法への、顧客側の反発もあるのかもしれません。 「落ち着いた雰囲気で、店員と対話をしながら、実物を見て納得の買い物をしたい」というニーズを取り込もうというのが「リアル店舗」の戦略です。

もともと「店」は昔から実際に「存在」していました。なぜ敢えてリアル店舗というのでしょうか。

1つはネットビジネスへの対抗手段として、小売店が自らの価値を訴求するときの言葉。 もう1つは、ネットビジネスを展開する企業が、より安心して買い物をしてもらうために設けた文字通りの「実店舗」を意味する言葉です。

これには「ショウルーム」と、「顧客との接点を求める場」としての期待があります。

  ・オムニチャネル ――すべての(流通)チャネル リアル店舗、自社のホームページ、他社の通販サイト、自社の卸ルート、自社の直販営業ルートなど、すべての流通ルートを使って自社の商品を販売しようとする戦略です。 これによって、たとえば「ネットで予約したものを、近くのお店で確認して購入できる」などのサービスを提供することが可能になります。

この方式は、B2Cビジネスでは受け入れられやすいものですが、B2Bビジネスでは構築が難しいと考えられています。やはり「意思決定者が複数いて、購買までのステップが複雑」というのがその理由のようです。

しかし一方で、B2Bであっても「最終決定は個人が行うのだから」との考えの下、「情報提供やレコメンドにオムニチャネルを活用できないか」と研究している企業もあります。 いずれ素晴らしいアイデア、方式が生まれるかもしれません。