営業現場の競争に販売データをこう使う

 

営業部員は第一線で、日々ライバルとの競争にさらされています。

その競争も、製品の機能・価格はもちろんのこと、納期やサポート体制、そしてあなたの提案や情報提供など、様々な要素が絡み合った競争です。

そして、その結果が販売データに表れているのです。

「勝っているものは何か」、「負けているものは何か」、「拡販のヒントはないか」。自分の担当顧客ごとの、販売内訳実績表がそれを教えてくれます。

重要な顧客から順に購買内容を「ウオッチ」して、売れているもの、苦戦しているもの、そして変化しているものに対して、「なぜ?」と考えることがデータ活用の原点です。

かつてテレビ番組で紹介された「データサイエンティスト」の一人は、データが語りかけてくることに対して、「自分は1日中 『なぜ?』、『なぜ?』、『なぜ?』 と考えています。」と話していました。

それではどのように販売データを見ていけばいいのか考えてみましょう。  

(1) 実績上位の顧客に対しては全商品合計売上と利益の推移を見る

この顧客については取引の維持・拡大を目指します。

  • 顧客ごとの月次実績をZチャートや移動年計グラフに表して推移を点検する
  • 上昇傾向にある場合は「全体的な伸び」なのか、「特定の商品の伸び」なのかを確認して、それぞれその理由を考える。特定の商品の場合は、関連商品も伸びているかをチェックする
  • 下降傾向を示す顧客についても同様に調べるが、その変化が構造的要因による変化かをチェックする 。

  伸びている顧客についての「なぜ?」の答えには、当社扱い製品やサービス、体制の「強み」が反映されるでしょう。 もしその理由が、「あなたに対する顧客の信頼・好意」なら最高ですね。  

また下降の理由には、「ライバルの浸食」や「顧客側の事情」があるかもしれません。早急に原因を確かめる必要があります。

というのも、これらの変化の理由によっては、放置すると下降を続けるという性質があるためです (構造的変化)。

「ライバルの浸食」については、単純な競合の結果なのであれば、「次は頑張ろう」で済むかもしれませんが、もしライバル社がその戦略や体制を強化して攻めてきたのであれば、当方も組織的な対応をしないと負け続ける恐れがあります。  

また「顧客側の事情」がある場合は、その顧客との接触をより密にする必要があります。なぜなら、この状況から抜け出すことを最も強く考えているのは当の顧客だからです。

現状の改善、新規ビジネスの模索など、相手の課題解決に向けて全力で応援しましょう。  

(2)売上構成比累計70%までの顧客について、売上構成が小さい商品の「変化」を点検する

「変化」の中に大きなチャンスが潜んでいる場合があります。

  • 顧客ごとに商品別月次実績表を作成する
  • 実績が小さい商品の中に、特定の月に売上が突出しているものがないかをチェックする

  該当する商品があった場合は、その商品の位置付けを確認します。 今までライバル社が納入していたものなら、顧客とライバル社との取引に問題が起きている可能性があります。

もしその商品が新製品の場合は、顧客が扱い品の切り替え、または新しいビジネスを模索しているのかもしれません。  

このように、「今までとは違う」受注があったときは、取引拡大のきっかけになるかもしれません。顧客とのコミュニケーションを深めて、その発注の理由を確認しましょう。  

なお、新規に取引を開始した顧客、売上構成比は小さいが顧客自体の規模は大きい顧客、将来に期待している顧客、これらの顧客についても同様のチェックを行うと、拡売のヒントが潜んでいる場合があります。定期的なウオッチをお勧めします。    

以上、営業部員のデータ活用について述べてきました。 中には「そんなことをしなくてもKKD (経験と勘と度胸) で行ける」という人もいますが、よくよく聞いてみると、そういう人ほど情報を集め、緻密な状況分析をしているようです。

ですから、KKDでうまくいくならそれでよいのです。販売データは営業活動を支援する1つの手段でしかありません。

「現状を整理したい」、「こういうことが起きていないか」、「何かヒントはないか」と思ったときに気軽に問い合わせることができる「データ秘書」として利用すればよいのです。

なお、1つだけ注意することがあります。 それは「構造的要因」による実績の下降現象が見つかった場合です。

これは担当者個人での解決は難しいケースが多く、また処置が遅れると下降し続けるという厄介な問題です。早急にマネージャに報告して、状況の確認と組織的な対応を具申することが大事です。