販売分析入門講座
第3回 販売情報、可視化へのアプローチ(2)
営業マネージャの情報武装
アフター・ファイブ、いつもの実績集計が始まりました。
明朝のミーティングに備えて、部下一人一人の実績累計、目標対比、販売内容などを集計し、点検しています。ミーティングでは、目標達成に向けてチームを指導し、引っ張っていかなければなりません。
情報システム部門から部署単位の実績表は配布されるものの、部下に対して具体的な指示やアドバイスをするには、もっと詳しい販売内容をつかんでおく必要があります。自部署の取引データを販売管理システムから取り出して、細かい集計作業が続きます。
少し寄り道になりますが、病院では患者ごとに「カルテ」が作られています。
1日に何人もの患者を診察する医者が、患者を前にしてカルテを見れば、そこに全部書いてあり、すぐに診察や治療にとりかかることができます。
多忙な営業マネージャにも同様に、部下を前にして短時間で部下の営業状況を把握できる「カルテ」があれば理想的です。
では、カルテには何が書いてあればよいでしょうか。
営業のカルテですから売上金額や利益額は当然ですが、実績を伸ばすためには顧客や商品毎の販売状況もわからないと具体的な指導は困難です。そして、数ある顧客や商品の状況を「ぱっ」と把握するには、「絵」にするしかありません。
したがって残業までして集計したデータは、ぜひグラフやチャートにまとめたいものです。
たとえば顧客や商品は、販売高の多いもの/少ないもの、伸びているもの/落ちているもの、という組み合わせで分類して図に表わしてみることです。
例として顧客ごとの販売状況を図にした ポートフォリオを下に示しますが、この図を見れば、力を入れるべき顧客はどこか容易にわかるでしょう。
データを可視化する「技」またはツールを持つことは、営業マネージャにとって強力な武器となるはずです。

3-1図 顧客別ポートフォリオ