販売分析入門講座
第4回 グラフやチャートが受け手に及ぼす作用(1)
グラフやチャートは、その表現方法を工夫することによって、販売データを営業の施策や行動のヒントを示唆してくれるチャートに変えることができます。
この項では、様々な形式のグラフやチャートを紹介しながら、それが見る人に与える効果と、その活用の仕方について述べていきます。
重点化と比較
1つの営業チームが担当している顧客は、それぞれ売上高も異なり、大口顧客から、時々スポットで注文が入る程度の顧客まで、様々な顧客で構成されています。
一方営業部員の数は決まっていますから、全顧客に対して平等に営業活動を行うことは効率の上からいっても考えられず、当然上位顧客に重点を置いた活動が中心となります。
しかしながら、誰でもわかっていることが意外に行われていない実態があります。行きやすい顧客ばかり訪問していたり、会議の発表でさほど重要でない顧客の説明に時間を費やしたりするのを見た経験がおありでしょう。
このような落とし穴に落ちないための効果的な方法が、全部見せることです。
たとえばチームの活動に当たっては、いつも4-1図のような全顧客の売上グラフを見ながら考える。また会議で担当者が発表するときは4-2図のように、その担当者の顧客全部の売上推移を見ながら発表させる。

4-1図 顧客別実績グラフ

4-2図 顧客別実績推移グラフ
このような環境を作ればみんなの関心が上位顧客に集まり、自然に上位の顧客から考えていく習慣をつけることができるでしょう。
全体が見えるということは重点化のみならず、異常の発見にもたいへん効果があります。
ところで営業活動における「異常」とは何でしょうか。その主なものは、「大きな変化」と「アンバランス」でしょう。
前期比や計画比、あるいは利益率の大きな落ち込み、売上高と利益率のアンバランス、販売内容のバランスが悪いなど、原因を探り解決すべき問題が、気づかれずに潜んでいるかもしれません。
一方、全部が見えるグラフは、それを見る人に「他との比較」を自然に行わせる作用があります。そこで4-3図のように前期比などの比率や、販売内訳を盛り込むことにより、異常の発見がしやすいグラフとなるのです。

4-3図 顧客別実績グラフ