目指すチーム運営のしくみ 1

1.目標管理を補完する顧客の重点化と差額管理

B2B営業チームの目標管理はたいへん難しいものがあります。

  小売業への卸売においては、顧客と共に年間計画を立てることができるという例はほとんど聞きませんし、製造業への部品・材料の販売でも、ある程度の生産計画は分かったとしても、市場の変化が激しい昨今、期初に立てた生産計画通りに進むという保証はありません。むしろ、変更されることの方が多いでしょう。

  一方、現状の目標管理はといえば、営業部員が顧客ごとに設定した目標値は、その「達成率」を指標として管理され、不足があれば担当者自身が挽回策を講じるという構造になっていることがほとんどのようです。そしてマネージャは、部員ごとに個別にアドバイス・指導する必要性を感じながらも、多忙のため、つい成り行き任せになってしまうとのこと。

  このような背景から、マネージャ諸氏との意見交換においても、「その部分を何とかしたい」と努力されている方々の話がよく聞かれます。

彼らは、書籍やネットに溢れている「営業チームを効果的に指導・リードするための提言」などを参考に、グループミーティングの進め方を工夫しようとチャレンジしていますが、残念ながら途中で行き詰ってしまうようです。

 事実、昔からある目標管理やチーム運営に関する提言が、なかなか現場に定着せずに、相変わらずマネージャの苦労話が繰り返されています。

  一生懸命やっているのになぜこうなってしまうのでしょうか。 次の例で考えてみましょう。

「チームで情報を共有し、みんなの知恵を出し合って、拡販策を立案し、実行しよう」

 

 よく聞かれるこの提言に、チャレンジしたいと考えたチームマネージャがいたとします。

  そして彼は、次のミーティングのテーマに「重要顧客A社に対する拡販策」を取り上げたいと考えました。どんな準備をしましょうか。

 みんなで議論するのですから、A社のことをみんなが知る手段(環境)が必要です。

  まずはA社のプロフィール。これはその場でネットが見られればよいでしょう。

 重要なのは、担当者が集めたA社のニーズや、今抱えている課題、顧客自身が目指しているビジネスの計画や方向性などです。

 では担当者は、情報収集しきれているでしょうか。 もし不十分なら、マネージャが収集を指導・支援する必要があります。

  また、参加者はA社の現状を理解した上で拡販策を考えるために、A社の実績推移や最近の販売内容を知りたがるでしょう。それには商品別実績資料などを用意しておくことが必要です。

 

 さて上の例は、まだ情報共有の部分だけですが、ここまでだけでも実際に行おうとすると、イメージがなかなかつかめず、「何からどう始めればよいのか」と、考え込んでしまうマネージャが多いようです。

何か良い方法はないでしょうか。 それを次に考えていきます。

 

2.差額管理は細分化されたPDCAの積み重ね

差額管理のポイントは次の通りです。

拡販ターゲットの顧客を選定し、それに対するPDCAをチームのみんなで実践して、

これを積み上げることによってチーム目標を達成する

 そして、このしくみを現行の目標管理の中に組み入れて、チーム全員の力でチーム目標の達成を目指そうとするものです。

差額管理には、ターゲット顧客に対する拡販目標額や対象の商品、そして戦術を明確に設定した、具体的で確度の高い拡販策が必要です。その上で、確実な実行と成果の検証を繰り返していくのです。

つまり、差額管理は「細分化されたPDCAの積み重ね」であり、その要になるのが、「確度の高い拡販策の立案」であると言えるでしょう。

そこで次項からは、改めて先人の知恵を借りながら、でもマネージャの負荷を少しでも軽くしながら、チーム全員で取り組む差額管理のしくみ作りを考えていくことにしましょう。