目指すチーム運営のしくみ 2

 3.確度の高い拡販策立案のために

さて、この拡販策立案は、どのようにすればうまくいくでしょうか。 そのお手本とするべく、あるグループミーティングをのぞいてみましょう。

拡販策立案のディスカッションをのぞいてみた…

15人ほどの営業チームのミーティング。

進行役はチームマネージャ、今日は拡販策の検討会議です。

営業部員は自分の担当顧客の中に、それぞれ5・6社の重点顧客を設定しています。 マネージャは重点顧客の中から、少し苦戦しているA社を検討対象として発表しました。そしてプロジェクタには、A社の簡単なプロフィールと、今期と前期の実績を比較するグラフが表示されました。顧客の実績概要を見る集計表とグラフは4種類が定型化されているようです。

次にA社の担当者が指名され、彼はA社に関して日ごろ収集していた情報を発表しています。情報の収集項目はチーム内である程度標準化され、記入フォームができているので、担当者はみんな、重点顧客を訪問するごとに内容を更新しているのです。

とくに重要な情報は、A社から当チームへの要望や、A社自身が抱える課題、そしてライバルの動きに関するもので、この発表には参加メンバーみんなが注目していました。

そして拡販策の検討が始まりました。最初は、拡販ターゲット商品の候補を選定するようです。

今度はプロジェクタにA社の上位商品別実績表が映し出されました。営業部員は全員、自分の重点顧客ごとに同種の集計表を持っているとのこと。

討論は、A社と他の重点顧客の販売内容を比較しながら、進められていきます。「全体的に売れているものをもっと伸ばそう」とか、「他の顧客で売れ始めたこの商品は、A社に売れないか」とか…  

そして拡販対象候補の商品が選定されていきました。

 

次はいよいよ選定した商品の現状分析と、拡販策検討のようです。

現状分析はグラフを見ながらみんなで行うようで、「伸びている/落ちている」から始まって、「チーム実績への貢献度」、「後継品は育っているか」など、7つの定型グラフで一通りのことは分かるとのこと。この時はある売れ筋商品の、A社に対する販売単価と販売数の関係を示した日次・月次グラフを元に、価格政策の議論が白熱していました。

そして拡販策の検討。この時メンバーの手元には「拡販ヒント集」がありました。ヒント集の、例えば「顧客の意思決定要因」には

ž   小売業… 売れる、儲かる、売りやすい

ž   製造業… 製品の機能が上がる、コストが下がる、製造が楽になる

など、営業方法に関する提言や、先輩マネージャのアイデアなどを元に、いろいろな角度からのヒントが盛り込まれているようです。

このようにして会議は進み、実際に拡販する商品が絞り込まれ、みんなで考えた拡販策と目標額が決まりました。

そしてそれは、アクションプランのフォームにまとめられ、さらにA社への提案書の案として担当者に託されました。

アクションプランのフォームは、「攻守、武器、援軍、作戦」など、競争を意識した戦略的なプランをまとめるため、提案書の案は同じ内容を顧客目線で表現し、提案時に同意を得やすくするためのフォームです。

最後にこの2つのフォームの記載内容が確認されて、ミーティングのテーマは次の重点顧客へと移っていきました。

いかがでしょう。この中には、拡販策立案会議の進め方が集約されていますね。

そこでこの例をベースにして、営業チームが差額管理を効果的に行うために必要と考えられる項目を列挙してみました。それを次に示します。

 

営業チームの差額管理に必要な項目

 「細分化されたPDCA」を支援する項目

  • 重点顧客化のしくみを作る

 営業部員ごとに担当顧客の中から重点顧客を設定し、営業リソースを集中する

  •  情報収集のルール化

 情報収集の項目を標準化し、顧客訪問時の情報収集用フォームを用意

  • 販売実績資料の作成

 重点顧客の選定、情報共有、現状分析に役立つように販売データを集計・加工する

  • ヒント集作成

 拡販策討論時の知恵の出し合いを支援するヒント・アイデア集を作る

  • 拡販策まとめフォーム

 拡販策のアイデアを、実行のための戦略的プランに落とし込むフォームを作成する

  • 顧客への提案フォーム

前項の実行プランを、顧客に提案し「やってみよう」との同意が得られるようにまとめる

 背景となる「チームの基礎知識」の向上を目指す項目

  • 商品・顧客・市場の動向に関する知識強化
  • 顧客の意思決定要因、商品のライフサイクルと競争、価格戦略と差別化戦略等
  • 競争と戦略に関する知識強化
  • チームの「強み・弱み」分析、「攻めと守り」の使い分け、ライバルとの戦い方など

 

さて、上に示した項目の中で後半の部分は、営業活動の基礎になる、市場や競争の知識に関するもので、チームの指導に当たって、マネージャが理論武装しておくべき項目を列挙しました。 「それにしても項目が多いな」と感じるあなたのために、次項では極力楽に取り組める方法を紹介していきます。